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雑誌掲載magazin

東洋医学誌 2012年3月

花粉症によく効くツボ

 花粉症患者を治療する機会は多くあり、合谷や照海など、すでによく知られている花粉症に効くツボの効果を実感している。

 そういった従来のツボに加えて「外風府:(風府の外側約5分、僧帽筋内側)や「内天柱」(天柱と瘂門の間)へのアプローチも効果が出ることが多い(図1)。外風府は花粉症患者で硬結や圧痛が出やすい場所で、母指持続圧あるいは00番(直径0.12mm)鍼で鼻にひびかせて置鍼し、温灸を行なう。内天柱は離開法という関節運動法を行なうと、鼻にひびいて症状を改善することがあったので、一症例を通じてご紹介したい。

花粉症治療で使う9つのツボ

 筆者が花粉症でよく使うのは、以下に挙げるツボである。それぞれ、症状に応じて使い分けている。

①合谷

 鼻の症状に最も関係が深いツボ

②照海

 腎経に属するが、全身を温める作用がある。

喉や目に関係が深いツボ。

③天突

 喉の症状に効果があるツボ。喉が痒くなったり痛くなったりするタイプの花粉症の場合は、使用している。

④鼻通

 その名の通り、鼻全体への症状に効くツボ。奇穴で、鼻梁の骨と軟骨の中間に位置している。

⑤眼球部(睛明・瞳子髎・承泣・魚腰)

 目の痒みによく効く。具体的には目の内側部が特に痒ければ睛明、外側部が痒ければ瞳子髎、下眼窩が痒ければ承泣を中心に下眼窩34点、上眼窩が痒ければ魚腰を中心に上眼窩34点にアプローチを行なう。鍼は行なわずに、温灸や指圧・揉揑でアプローチする。

⑥百会

 百会は、目から鼻を通って、腹部、下肢など全身にひびかせることができる。花粉症治療でもやはり重要なツボである。

下天柱

 花粉症患者は、第2頸椎棘突起に硬結があることが多く、このツボを刺激すれば、喉・歯・鼻・目など顔の感覚器官で症状のある部位に必ずひびきが起こる。筆者は「下天柱」と名付けており、直刺した後に回旋して雀啄を行なうことが多い。

⑧外風府

 鼻中隔の粘膜のむくみを改善させ、鼻を通らせるツボ。直刺して回旋・雀啄を行なう。

⑨内天柱

 このツボに刺鍼すると鼻汁が喉に落ちるという症状を改善できる。瘂門の外側の僧帽筋内側部にある。筆者はここを「内天柱」と名付けている。

症例

【患者】 女性 53歳、スナック経営。
【主訴】 X226
【症状】
 X-1年までは花粉症があまりひどくなかったので、市販の薬を少量使うだけで症状を抑えることができていた。しかしX年は花粉の飛ぶ量が多くなるとの予想の通り、2月中旬頃からそれまでの薬では症状を緩和できず、接客中に鼻水がタラーと出てしまい、とても仕事ができなくなった。
 夜は寝ていて鼻が詰まって息苦しい。喉は、店でタバコを吸う客が多いので、その煙を吸い込んでいつもいがらっぽい。花粉症がひどくなってからは、喉の痛みに変わってきたという。目は少し痒い程度である。

 初めて耳鼻咽喉科に行ったところ、処方された薬は内服薬(セレスタミン:副腎皮質ホルモン抗ヒスタミン薬の配合剤)と点鼻薬、点眼薬であった。

【生活状況】
 スナックを経営しているが、アルコールは弱く少量しか飲めない。抗生物質を飲むと湿疹がでる、海老や蟹を食べると蕁麻疹がでるので、できるだけ薬を飲みたくないと考えている。喉の症状緩和のためにのど飴を常用している。便通は普通であるが、店が冷えるので足がむくむ。更年期症状は昨年で終わって比較的軽かった。趣味は月に
1回コースに出るゴルフである。
以前、この患者の母親が当院の鍼治療にかかって痛くなかったということで、初めて鍼治療を受けることになった。

花粉症症状への治療

 主な治療は以下のようなものである。ツボ別に説明していきたい。

①合谷への置鍼
 紛れもなくの花粉症の症状なので、鼻の症状に関係が深い合谷を指圧しながら触診した。左右ともに同じくらいの硬さで硬結がみられたため、両方に刺鍼を行なった。
 ちなみに、筆者は合谷への刺鍼方法は3種類あると考えている。鍼を行なう前によく揉んで、3つの合谷のうち、最も硬結と圧痛のある場所を調べてアプローチする。その3つとは下気のようなものである。

(1)示指と母指を開いた時に第1・第2中手骨接合部の前縁に陥凹部ができる。その陥中で押したときによくひびく部分(合谷Aとする)に刺鍼する方法。このときは、労宮に向けて直刺する(図2A)。

(2)合谷Aよりも三間に近い場所で、虫様筋の硬結(合谷Bとする)に刺鍼する方法。このときは硬結から切皮して陽溪に向けて斜刺す(図2B)。

(3)1中足手骨と第2中手骨の筋である母指内転筋の硬結(合谷Cとする)に刺鍼する方法。このときは硬結から切皮して陽溪にむけて斜刺する(図2C

 この患者の場合は、合谷Bに最も反応があったので、硬結から切皮して陽溪に向けて斜刺する(図2C
 この患者の場合は、合谷Bに最も反応があったので、硬結から切皮して陽溪に向けて斜刺を行なった。
 「鼻水はどちらの鼻からよく出ますか」と聞くと、「右の鼻から鼻水が多く出る」と言うので、右の合谷からアプローチした。13分・00番鍼を用いて切皮痛を与えることなく弾入し、撚鍼して2cmほど刺入するとズンと感じた。一呼吸おいてからまた、ゆっくりと回旋して、雀啄を繰り返した。「どうですか、痛くないですか」と聞くと「このくらいの痛みなら大丈夫です」と言う。右大腸経の手三里あたりに鈍い痛みに似た感覚が起こったようである。
 我慢してもらって雀啄を続けると、鼻の中にもて三里と同じような感覚が起こったようで、「鼻の中が広がるような感じがして通りがよくなった」という。左の合谷にも同様に刺鍼すると、右側ほどではないが鼻にひびきのような感覚が起こって、こちらも鼻が通ったようだった。










図2 合谷への刺入方向は3種類

②照海への置鍼
 目は少し痒い程度とのことだったが、喉にも症状があるので、腎経の照海に指圧を行った。圧痛が強い右側には置鍼をした。効果を持続させるため、腹臥位になってもらうときも、皮内針用の紙テープで止めて置鍼したまま、体位移動してもらった(図3

③上天突への置鍼・温灸
 引き続き、喉の症状に対して天突とその周囲に軽い揉揑を行った。天突の2cmくらい上方の甲状軟骨の下に縦にスジ状の硬結がある。圧迫すると「咳が出そうになる」と言う。
 この阿是穴に約2cm直刺するとジーンという感じがした。そのまま置鍼をし、後に温灸も行った。

④鼻通への温灸
 一番の主訴ともいえる鼻の症状を緩和させるために、鼻通(奇穴、鼻梁の骨と軟骨の中間の圧痛点)にアプローチした。以前までには、鼻に症状がある患者には、必ず鼻通に刺鍼していたが、強いくしゃみを伴うケースが多いため、温灸でアプローチするようになった。(図4。同時に、迎香から上迎香にかけて示指揉揑を行った。

⑤眼球部(睛明・瞳子髎・承泣・魚腰)への温灸
 目の痒みもややあるので、眼球部へのアプローチ。刺鍼はせずに、温灸と上眼窩・下眼窩部に指圧・揉揑を行った。終わってから聞いたところ、温灸と按摩で目のかゆみをかなり軽減することができようである。

⑥百会への回旋・雀啄
 百穴は目から鼻を通って、全身にひびかせることができるツボなので、花粉症患者には必ず使う。この患者にも、百会に1寸・00番鍼で顔面の方に向けて約2cm刺し、回旋・雀啄を行った。「鼻にジワーッとした感覚がします」とのこと。

⑦下天柱への回旋・雀啄
 花粉症患者は、第2頸椎棘突起(下天柱)に硬結があることが多いが、この患者も同様だったので、回旋と雀啄を行う。喉・歯・鼻・目など顔の感覚器官で症状のある部位にひびきが起こった。

⑧外風府への回旋・雀啄
 触ってみるとやはり外風府には圧痛があったので、鼻中隔への粘膜のむくみを改善させるために、外風府へのアプローチを行った。母指持続圧を行ってから、1寸・00番鍼を使って、押し手でつまんでいる約1cmを残して、約2cmを鼻の方向に向けて直刺して回旋・雀啄を繰り返した(図500番鍼はやわらかい鍼なので痛みは起こらないが、念のため「痛くありませんか?」と聞くと「鍼のところは全然かんじないのですが、うつ伏せなのに鼻が通る感じがします」と言う。細い鍼の刺鍼は、まれに刺鍼部では何も感じず、遠隔部にひびきを感じる場合がある。鼻中隔の粘膜のむくみが改善されたものと思われる。

 同じように左の外風府に刺鍼して回旋・雀啄すると、刺鍼部に刺鍼の刺激感があった後、鼻が通った。外風府へ刺激すると必ず鼻にひびいて通るようになるので、鼻が通るまで「患者さんが受け入れられる程度のおだやかなひびき的感覚」を持続して行うことが大切である。

 さらに温灸も行った。温灸は鼻の中が温かく感じるまで約1分から3分間、続けることが大切である。この患者の場合は、1分間ほど温めてから、さらに効果を上げるために、一旦温灸を置いて、外風府に回旋・雀啄してジーンとさせてから、もう一度温灸を行った。「鼻の中が頚の後ろと同じくらいに熱くなりました」とのこと。

 ちなみに、女性に温灸を行う場合、盛り上がっている髪の毛を焦がす危険があるので、手拭をかけて髪の毛を押さえ、その上から置鍼部を温めるようにしている。

⑨内天柱への関節運動法
 最後に、背部の鍼をすべて抜鍼して背臥位になってもらい、鼻症状への改善として内天柱に位置する後頭骨と環椎関節への離開法という関節運動法を行った。
 具体的には支えの手で患者さんの顎を軽く圧迫する。そして、手技を行う手の人差し指を天柱に、中指を内天柱に置いて僧帽筋を揉むようにして後頭骨に当てて、上方に強く牽引する(図6。片側に1回、約2030秒間の持続的手法を行うと、手技を行った同じ側の鼻にひびいて通るので、これを数回行った。
 以上が花粉症症状に対する鍼治療だが、花粉症患者は鼻の症状以外にも、冷えを伴っていることが多い。この患者も同様で、冷えに対する治療も行ったことを追記しておく。
 腰部で冷えのあった左京門と硬結のあった有志室に温灸を行ったところ(図7)、「先生、お腹のほうから温められている感じがします」と言う。

図3 置鍼した照海への鍼をテープで止める 図4 鼻痛への温灸
図5 外風府に直刺して回旋・雀啄  図6 内天柱への関節運動法
図7 左の京門と右の志室への温灸  図8 ベッドの上にテニスボールを置いて、外風府に当てるように仰向けになる

経過

 最初の治療が終わって、鼻をかむと、「目と鼻がすごくスッキリして、のどの違和感がないです。お腹が温まって気持ちよいです」と言う。2週間で5回のペースで同様の治療を行ったところ症状が改善してきた。患者の判断で飲み薬と点鼻薬、点眼薬の使用を減らしたが、症状の悪化は見られなかった。

 薬をもらってから2週間経ったので病院に行き、症状が改善したことや肝臓が弱くて薬に敏感なことを説明したら、漢方薬の小青龍湯が処方されたとのこと。この薬を12回吹く使用しながら、週2回の鍼灸治療と指圧を継続してもらった。その結果、仕事中、全く鼻水が出なくなった。「母親が台所で作る料理の匂いが分かるようになった」と言う。

セルフケア指導

 最後に、治療以外で養生法として勧めたのは入浴である。「春になってからお風呂に入るのは週に12回で、朝、シャワーで済ませることが多い」と言うので、花粉症の季節が終わるまでお風呂に入るように指導した。入浴するようになってからは、それまで寝ていて1回は目が覚めて排尿に立っていたのがなくなり、朝まで目が覚めないで寝ていられるようになった。
 また、牛乳とアイスクリームが好きというので、どちらもアレルギーにはよくないことを説明した。その代わりに、免疫強化の1つとして酒粕にお酒を入れないで、ショウガとハチミツで味を付けて飲むことを提案した。そして、スナックの室内は冷房を効かしていて足元が冷えると言うので、足元に電気ストーブを置くことを勧めた。
 さらに、自己治療として勧めたのが、ベッドの上にテニスボールを置いて、外風府に当るように仰向けに寝ること8。鍼治療を受けなくてもこれだけでも、ある程度は鼻の症状が改善されると考えている。あとは、前腕部で冷えていた曲池から手三里にかけてマッサージすることや、合谷を指圧することなどの患者指導を行った。治療がうまくいったのは、これらの養生の効果もあったのではないかと考えている。
 季節柄、花粉症患者が門を叩くことが増えると考えられるが、みなさまの治療の一助になれば幸いである。



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