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論文掲載monograph

帰ってきた!シリーズ腰痛

第2回 経絡按摩・関節運動法と腰痛

腰痛に対する様々な治療やアプローチを行っている治療院、クリニック、治療現場を紹介する「シリーズ腰痛」。再スタート第2回目は、東京・南青山で自らが考案した経絡按摩と、AKA(関節運動学的アプローチ)に着想を得た関節運動法を実践している田中勝氏の腰痛治療を取材しました。

【経絡按摩、関節運動法とは】
 関節運動学的アプローチは、元国立大阪南病院理学診療科医長の博田節夫が、欧米の関節モビリゼーションという治療技術をベースに研究開発した運動療法である。
 この関節モビリゼーションに基づいて、リウマチや脳卒中のリハビリで痛みを発生させずに行う方法を研究する 中で、脊椎椎間関節モビリゼーションと仙腸関節モビリゼーションの技術を考案し、関節運動学に基づく関節包内運動の治療法ということで、関節運動学的アプローチ(arthrokine- matic approach : AKA)という名称が用いられるようになった。
 関節運動学という学問は、1970年代に米国のM・A・マックコーネルが、関節の中の関節面相互の動きを研究して発表したのが最初である。
 その後、メンネル(米国)やケルトンボーン(ノルウェー)が、関節包内運動の正常化を目的とした治療法を研究し、「痛みのほとんどは関節内の2つの関節面が骨運動に対して、正常に動かないために起こる」と説明し、これを関節機能異常と名付けた。

□AKA治療の理論

――先生が考案・実践されている経絡按摩について教えていただけますか。

田中: 経絡按摩とは、簡単に言うと、背腰部兪穴と胸腹部募穴で診断(編集部注:東洋医学的診断という意味)し、関連する経穴に持続圧を加える治療のことです。指圧的な指の使い方も含まれますが、局所の按摩を行うこともあり、経絡按摩と称しています。
なぜこのような治療を行っているかと言うと、上肢・下肢の十二経絡と兪穴、募穴は極めて関係が深く、この関係を重視して診断を行うことが最も的確な治療になると考えているからです。
兪穴なら、肝臓が肝兪、胆嚢が胆兪、膵臓が脾兪、腎臓が腎兪、胃が胃兪、大腸が大腸兪、膀胱が膀胱兪に対応しています。募穴なら肝臓が期門、胆嚢が日月、膵臓が章門、胃が中脘、腎臓が京門、大腸が天枢、膀胱が中極に対応しています。
これらのツボが臓腑(内臓)の調子を表し、関連する十二経絡の走行に症状を起こします。そのため、治療手順は症状によって異なりますが、まず関連する兪穴と募穴を衣服の上から揉捏と指圧して、反応があった兪穴あるいは募穴に対応する手足の関連経穴を指圧していきます。つまり、基本的には内臓の弱りが様々な症状を起こしていると考えているのです。
もちろん肩の痛みが主訴の患者さんなら局所の按摩から始めるので、必ずしも背臥位で募穴のチェックから始めるわけではなく、ケースバイケースとなっています。
 大事なのは、兪穴と募穴の硬結・圧痛を的確にとらえて母指持続圧を行うと、腹鳴が起こったり、ほぼ十二経絡に沿ってひびきが起こるということです。ひびきとは、経絡に気が巡っていないところに、気が巡るとき感じるものと考えています。このひびきが起こらなくなるまで、関連する経穴を治療するのが経絡按摩です。

――関節運動法とは何でしょうか。

田中: 関節運動法とは、博田節夫先生が提唱されている関節運動学的アプローチ(AKA)の理論に中医学の経絡の考え方を応用したものです。AKAの技術を基本にしていますが、別法的な田中流の技術が多くなったので、2005年から、AKAではなく関節運動法と呼んでいます。現在、博田先生の手技はソフトになっていますが、昔の先生の治療は力強かった。17年前、それを見て、先生の指導通りに椎間関節に治療すると、十二経絡にひびいたのです。それで経絡を応用して、だんだん独自なものになってきました。もちろん、このことは博田先生に報告しています。

――名称は変わっても、治療のベースとなっているのはAKAなのでしょうか。AKAとは何でしょうか。

 田中: もちろんです。AKAとは、関節運動学に基づいて関節包内の運動を改善することです。関節運動学とは、骨運動に伴って関節の中で2つの関節面が動くときに、一定の法則に従って動くことを言います。この一定の法則とは、滑る、転がる、軸回旋です。これは構成運動といって自分で動かした時に出る動きです。  一方、副運動は自分では動かせない動き、つまり他人だと動かせる動きをいます。指をひっぱったら少し伸びるでしょう。これは自分ではできないものの、他動ならできる運動(離開)です。これがあるかないかが関節機能にとって大事になってきます。  こういった動かないこと(関節機能異常)を分析して、動くようにするのがAKAなのです。
 ここで注意しなければいけないのは、関節の痛みやその他の症状は2次的なものだということです。関節を最大可動域まで動くようにするのがAKAの第一の目的です。関節が広がらないと、痛みが取れない。逆に関節可動域が正常に戻ると、痛みだけでなく、かゆみなどの皮膚疾患も取れていきます。 ――胸椎・腰椎椎間関節のAKAと先生の関節運動法との違いは何ですか。

田中: 博田先生の初期のやり方は、側臥位で上位椎体の棘突起を天井側から、下位椎体の棘突起を床側から力を入れて滑らせます。しかし、一時期よく見ると、先生は逆に滑らせているように見えたのです。だから、これを逆滑り法と呼ぶことにしました。もちろん先生がそう言っているわけではありませんよ。  それに私はねじりを加えて、大きく動かしたほうが良いと考えました。これを順捻転、逆捻転に分けています。つまり私は椎間関節において、順滑り法、逆滑り法、順捻転、逆捻転に分けて治療しているのです。そこが大きな違いではないでしょうか。

●関節運動法(診察)

腰痛では、まず第1次関節機能異常を起こしている仙腸関節から治療を始める。次に腰痛に関係している内臓の弱りを改善するために、背腰部の脊椎椎間関節に治療を行う。
仙腸関節に対する主な治療は、上部離開法、前屈上方滑り法、前屈下方滑り法、後屈上方滑り法、後屈下方滑り法となっている。
なお、治療の前に前屈、後屈、坐骨神経伸展法、股関節屈曲・内転・内旋、股関節屈曲・外転・外旋を行い、機能異常のある部位を推測する。

①治療に入る前に、体幹を前屈させて、腰部の関節可動域(手床間距離)と疼痛の発生部位を調べる
②次に体幹を後屈させて、腰部の関節可動域(反り具合をみる)と疼痛の発生部位を調べる
③坐骨神経伸展法で痛みが誘発された場合、前屈機能異常を推測する
④股関節屈曲・内転・内旋で痛みが誘発された場合、仙腸関節の後上部・後下部の異常を推測する
⑤股関節屈曲・外転・外旋で痛みが誘発された場合、股関節の前上部・前下部の異常を推測する


●関節運動法(仙腸関節の治療)

 今回は、前屈すると右の大腸兪、第4腰椎・第5腰椎椎間関節部に痛みが出たと仮定して治療を行う。なお、田中氏は通常、患側が上の側臥位で治療を行っている。
 まず上部離開法を行う(離開法は、関節運動法の最も基本的な手技であり、関節の最大ゆるみの位置で行うと、ほとんどの例で「気持ちよさ」が感じられて関節機能異常を改善することができる)。次に股関節屈曲を他動的に行って、痛みがあった場合、前屈上方滑り法か前屈下方滑り法を行う。一方、股関節伸展を他動的に行って痛みがあった場合、後屈上方滑り法か後屈下方滑り法を行う。これらの手技によって仙腸関節部の動きを良くすることができる。  しかし、それでも痛みが残っている場合、今度は患者自身に股関節を屈曲あるいは伸展してもらい、前屈あるいは後屈の手技を行う。

①上部離開法。上前腸骨棘と上後腸骨棘を挟み込むように保持し、天井方向に持ち上げる。仙骨部に感じるひびき的気持ち良さが半減するまで、3回から5回行う
②上部離開法を行う際、患者に内臓の弱りが出ている腹部の経穴を押してもらう。経穴を押してもらいながら、そこの圧迫不快感が半減するまで上部離開法を行う。
③前屈上方滑り法。右手で腸骨を圧迫固定し、左手で仙骨を前屈させて上方へ滑らせる
④前屈下方滑り法。左手で腸骨を圧迫固定し、右手で仙骨を前屈させて下方へ滑らせる
⑤後屈上方滑り法。右手で腸骨を圧迫固定し、左手で仙骨を後屈させて上方へ滑らせる
③後屈下方滑り法。右手で腸骨を圧迫固定し、左手で仙骨を後屈させて下方へ滑らせる
④患者に股関節を屈曲してもらいながら、腸骨を圧迫固定し、前屈上方滑り法か前屈下方滑り法を行う(写真は前屈上方滑り法)
⑧患者に股関節を伸展してもらいながら、腸骨を圧迫固定し、後屈上方滑り法か後屈下方滑り法を行う(写真は後屈上方滑り法)


●関節運動法(椎間関節の治療)

次に脊椎の椎間関節の治療に移る。まず脊椎の棘突起間を1つずつ触っていく。脊椎の横の筋肉も触診する。触るというよりも揉んで調べるイメージである。その方が一番的確に椎間関節の動きを察知できる。

動きの悪い椎間関節を見つけた場合、それを関連する募穴を患者に押してもらう。例えば第12胸椎と第1腰椎の椎間関節は胃に関係しているので、胃の募穴である中脘を患者に押圧させ、その上で、腸骨を斜め後・下方に、腰椎(ここでは第12胸椎下関節突起)を斜め前・上方に圧迫する逆捻転という椎間関節の滑り法の手技を行う。
次に順捻転という手技を行う。これは肩部を背側に圧迫して固定し、中指を腰椎(ここでは第1腰椎棘突起)にあてて、腸骨を腹側に圧迫して椎間関節に滑り法を行う手技である。
関節運動法は他にも手技があるが、今回はこれで終了して、経絡按摩に移る。

①椎間関節の棘突起間を触診していく
②脊柱起立筋も触診する。兪穴も同時にチェックし、内臓の弱りがどの経穴に関係するかも見ておく
③逆捻転。患者に中脘を押圧させる。右肘で腸骨を斜め後・下方に圧迫しながら、左手で第12胸椎下関節突起を前・上方に圧迫する
④順捻転。右手で患者の肩部を背側に圧迫して固定し、中指を第1腰椎棘突起にあてて、左肘で腸骨を腹側に圧迫する。この際も患者は中脘を圧迫したままである。

③-1
③-2

●経絡按摩(診断按摩)
 まず凝っているところを調べるため、東洋医学的診断を兼ねた按摩を背部に行う(これを田中氏は診断按摩と呼んでいる)。腰痛で最初にチェックすべきところは、大腸兪、内大腸兪、外大腸兪、そして関元兪、内関元兪。それから内臓の弱りと関係する肝兪、胆兪、脾兪、胃兪、三焦兪、腎兪を見ていく。肝臓が弱くて腰痛が出る人もいる。そういう人は肝兪に反応が現れる。膵臓が弱くて腰痛の人もいるし、胃が弱くて腰痛の人もいる。そういう腰痛の人に対応するために兪穴をチェックしていく。
 また腰痛は、必ず足に反応が出るため、膝では主に委中か飛陽をチェックする。大腸兪は上巨虚、関元兪は下巨虚と関係が深いため、これらの経穴に対しても揉んでみて反応があるかどうかを調べる必要がある。反応があれば、そこも治療点に加える。
 なお診断按摩で関係する経穴がわかったら、治療中、患者に募穴を押圧させる。そこの圧迫不快感が取れれば治療穴と判断する。

①腰痛に最も関係する大腸兪と関元兪に対して診断按摩を行う
②兪穴を上から順にチェックしていく
③委中の反応を調べる
③下巨虚は関元兪と関係が深い


●経絡按摩(治療)

腰痛の経絡按摩では下肢の治療から行う。腰痛と腹部の圧迫不快感の両方に関係している、下肢の最も硬結・圧痛のある経穴に母指持続圧を行う。このとき膝関節伸展位、股関節屈曲位で腰痛を発生させた状態で母指持続圧を行うとよく効く。

次に腰痛の原因となっている内臓の弱りを顕著に現している背腰部の経穴に母指で持続圧を加える。なお田中氏は、腹臥位は腰を痛める可能性があるため、腰痛患者を腹臥位で治療しないようにしているという。  患者が一番楽な姿勢で治療を行うが、ある程度、腰痛が取れた場合、負担のかかる姿勢でも治療を行う。関節運動法で紹介した逆捻転、順捻転を再度行ってみて、捻ったときに痛みがあった場合、そこをゆっくり指圧する。
坐位や立位で体重をかけた状態で前屈、後屈を行ってもらい、痛みが残っている場合、痛む部位を指圧しながら、痛む動作を行ってもらう。
そのほか、細かいテクニックは他にもあるが、以上が経絡按摩での腰痛治療の大まかな流れとなっている。

①膝関節伸展位、股関節屈曲位で下肢の最も硬結・圧痛のある経穴(ここでは委中)に母指持続圧を加える
②内臓の弱りを顕著に現している背腰部の経穴(ここでは胃兪)に母指で持続圧を加える
③逆捻転、順捻転を行ってみて、痛みが残っているところに母指持続圧を加える。ここでは仙骨部への指圧をしているが、女性は特に仙骨部に痛みを訴えることが多いという。
④患者に立位で前屈してもらいながら、母指持続圧を加える。


ただ先ほども申しましたが、関節機能異常を治療するには、AKA的な発想が必要です。ですから、腰痛など関節が関係しているところには、関節運動法を必ず使いますね。
肩こりなど関節が直接の原因ではないところには按摩の治療が主でもいいと思いますが、やはり腰痛は経絡按摩、関節運動法のどちらもやったほうがいいと思います。今回は腰痛に対する関節運動法、経絡按摩をダイジェスト版として両方紹介しました(囲み記事参照)。
話をまとめますと、AKAは仙腸関節の機能異常を最も重視しますから、関節運動法でもそれにならい、治療は仙腸関節と、第5腰椎と仙骨あるいは第4腰椎と第5腰椎の椎間関節を滑らかな動きに改善することを目指します。その上で、経絡按摩で関連する経穴を治療していきます。これが私の腰痛治療となります。

■腰痛は内臓の弱りである

――鍼や灸は使わないのですか。

田中: もちろん使いますよ。痛みをはじめ、すべての症状において、鍼と温灸が最も治療効果があると思っています。鍼に恐怖心のある患者さんには施術しませんが、当院で使用している00番鍼、0番鍼は、切皮痛や刺入通がほとんどなく、一定の深さに刺入して雀啄すると、患者さんは気持ちよいひびきを感じながら症状が改善します。鍼や温灸は、治療した部位のひびきだけでなく、必ず腹部や下肢などにもひびきが起こります。経絡に気をめぐらせる作用が最も強いので、治療では、鍼・温灸を積極的に勧めています。ただ今回は経絡按摩と関節運動法がメインテーマなので、そちらを紹介しました。

――腰痛患者さんに手技で治療すると、どれぐらいで回復しますか。

田中:一般的には、軽い腰痛は3~5回、少し重い腰痛は5~10回の治療で改善すると思っています。ただ手技がすべてではありません。その
患者さんなりに、生活の中で腰痛の原因になっていることを指摘して指導することが大切です。具体的には、冷えと便秘が腰痛に関係があります。冷え、便秘は、内臓で判断すると腎の弱りですから、腎が弱っているところに、胃や肝臓、その他の内臓の弱りも重なると、慢性的な腰痛になります。つまり、腎の弱りと、それに関連する内臓の弱りがあって、結果的に腰に負担をかけているのです。ですから、アルコールの飲み過ぎや油っこい物の食べ過ぎ、冷えを改善させていかないと腰痛は治りにくい、そういったところにアプローチしていくのも、治療家の役目かなと思っています。

【田中 勝(たなか まさる)】
1948年、北海道生まれ。1987年、東洋鍼灸専門学校卒業。1988年、東京都港区に治療院開設。1993年、経絡按摩・関節運動法講習会を発足させ、AKAの創始者・博田節夫氏の許可を得て、関節運動法などの講習会を行う。著書に『関節運動法』(たにぐち書店)、DVDに『よくある症状への手技療法』(医道の日本社)などがある。
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