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論文掲載monograph

按摩と関節運動法による右坐骨神経痛

(あるいは変更して「右ふくらはぎの痛み」)の改善

田中 勝 田中鍼灸指圧治療院 鍼・温灸&経絡按摩・関節運動法講習会主催

症状部位と治療穴 治療関節

女性 49歳 家事手伝い 事務のパート 160㎝ やや肥満
初診 平成27年12月30日
2週間ほど前から右ふくらはぎにシビレる感じがしていたが、3日ほど前から急に痛くなって、歩くのが辛いという。
以前から、たまに腰痛になったときに按摩にかかっていた患者さんで、ふくらはぎに痛みが出たのは初めてであった。
病院の治療は受けていない。

施術
1.右上側臥位
①患部の診断按摩と施術
右ふくらはぎの痛む部位を揉むと、最も硬結・圧痛のあるツホは膀胱経の飛陽穴から跗陽穴にかけてであった。
外くるぶしの下方、陽蹻脈の主治穴である申脈穴を指圧すると、かなり強く圧痛があった。
申脈穴を母指持続圧して、右ふくらはぎの疼痛部位に按摩(指圧と揉捏)を行いながら患者さんにいろいろ症状発症の話を聞いたところ、年末、忘年会が続いて、夜の外出と飲食が多くなったことが原因であった。

(図1)
②腰部の診断按摩と施術
腰部に診断按摩を行うと、仙腸関節部の膀胱兪穴、腰部の関元兪穴、志室穴、胃倉穴に硬結・圧痛があった。
これらのツボを重ね母指で持続圧して、最も患部の右ふくらはぎに響いたツボは志室穴であった。
志室穴は腎に関係したツボなので腎の弱りが予想された。
志室穴を母指持続圧すると患部のシビレ感が強くなる感じがしたが、1分間ほど持続圧すると、その感覚が薄れてきた。
他、関元兪穴、胃倉穴に按摩を行った。



③百会穴の持続圧とずらし圧
次に頭頂部、督脈・百会穴を指圧すると圧痛があった。
右下肢を膝関節伸展位で股関節屈曲し、さらに足関節を背屈してもらうと、ふくらはぎの患部に痛みが出た。

この痛みが出た状態で百会穴を持続圧して、その次に患部の方向である、右斜め後方にずらすように圧を加えたところ、ふくらはぎの痛みが軽減した。
痛みが感じられなくなるまで、1分間ほど2回、圧をずらしたまま持続圧を行った。

(図3)


➃ 関節運動法
※関節運動法とは、関節運動学的アプローチ(AKA)に中医学の経絡を応用して診断を行い、AKAの手技を基本にして田中流の別法を多数、取り入れた整体である。

1)仙腸関節の診断と施術
仙腸関節に主要な手技を5種類行うと、最も響き的な感覚が強かったのは前屈上方滑り法であった。
右ふくらはぎに痛みの出る状態(膝関節伸展位で股関節屈曲位)にして、この手技を行い、痛みが半減するまで持続的に行った。

(図4)


前屈上方滑り法
腸骨を固定して、仙骨上部(第2仙骨孔・次髎穴)を前屈(腹部側に圧迫)して上方(頭方)に圧迫し、仙骨と腸骨の関節に滑りを起こさせる手技。

2)脊椎椎間関節の診断と施術
腰椎椎間関節に足方から、5、4、3、2、1と5箇所に逆捻転を行うと、最も響き的な感覚が強かったのは2番の腰椎2/3椎間関節であった。
ここで足関節(距腿関節)を底屈してもらうと、ふくらはぎに痛みが出た。
腰椎2/3椎間関節に逆捻転を行いながら、もう一度、足関節を底屈してもらうと痛みが軽減したので、30秒間の持続的な手技を2回、行った。

(図5)

※腰椎2/3椎間関節の逆捻転の詳しい説明は、医道の日本誌 2015年3月号 アトピー性皮膚炎改善の論文、152頁を参照して下さい。


※腰椎2/3椎間関節の逆捻転の詳しい説明は、医道の日本誌 2015年3月号 アトピー性皮膚炎改善の論文、152頁を参照して下さい。

3)股関節屈曲と凸軸回旋法
治療師の下肢で股関節屈曲位を保ち、両手を大転子にあてて圧迫しながら凸軸回旋を行った。
さらにこの手技を行いながら、患者さんに股関節屈曲に力を入れてもらい関節可動域の拡大と筋力増強を行った。

(図6)

2.腹臥位
①腰部・臀部、下肢後側部の診断按摩と施術
腹臥位になってもらい、もう一度、背腰部、臀部と右下肢後側部に診断按摩を行うと、
腰部で腎兪穴、臀部で上後腸骨棘の外側、胞肓穴に硬結・圧痛があり、下肢では膝窩部の腎経・下陰谷穴に激痛があった。

※下陰谷穴:正穴・陰谷穴の足方1寸にある。山下詢の私法穴
右腎兪穴と右胞肓穴に母指揉捏と重ね母指持続圧を十分に行った。
下陰谷穴は、踵が冷えていたので、踵を他方の支え手で押さえて温めながら按摩を行った。

3.背臥位
⑴ 関節運動法
① 距腿関節の背屈と凸滑り法
足関節(距腿関節)に背屈と凸滑り法を2種類、行った。一つ目は足関節を外反位にして行い、ふくらはぎ内側部の筋を伸展した。
二つ目は、足関節を内反位にして行い、ふくらはぎ外側部の筋を伸展した。
この手技を行うと、ふくらはぎの疼痛部位が伸展されて患者さんは気持ちよく感じた。
最後に筆者が背屈の手技を行いながら、患者さんにも足関節背屈に力をいれてもらい、関節可動域改善と筋力増強をはかった。

(図7) 骨模型の説明(図8)


※距腿関節の背屈と凸滑り法
下腿骨・脛骨を固定し、踵(踵骨)をしっかりとつかんで踵を床側に押しながら、前腕部で足底を頭方に圧迫して下腿骨と距骨に背屈と凸滑り法を行う。

⑵下肢の按摩
①下肢に坐骨神経伸展法を行いながら、ふくらはぎに按摩を行った 
背臥位で右下肢を持ち上げ、股関節をやや内転位の状態で筆者の肩に担ぎ、さらに足関節を背屈して、ふくらはぎに痛みが出る状態にして按摩を行った。

(図9)

⑶改善効果の判断
背臥位で、膝関節屈曲位で股関節屈曲位に保ち、患者さんに蹴るように力を入れてもらい、それに筆者が抵抗すると、ふくらはぎにシビレ感はほとんど出なかった。
ベッドから降りて右足に体重をかけて歩いてもらうと、痛みは70%程度、改善していた。

⑷生活指導
足が冷えていたので、お風呂に長く入ることを勧めた。

施術・2回目 5日たって、28年1月4日にかかった。
前回の施術の後、帰りに歩いていて、ふくらはぎの痛みはほんの少し感じた程度であったという。
31日の夜に母親が作った年越しそばを食べたら、妙に塩辛く感じ、元旦に毎年、恒例で食べる蒲鉾を食べたら、これも塩辛く感じて水ばかり飲んだという。
腎に関係した施術で腎が強化されて、塩分に対する感覚が敏感になったものと思われる。
また2日の日に、母親と箱根の温泉に行って体を温めた。
施術は1回目と同じであったが、足関節を背屈位にして、あえてふくらはぎに痛みが出る状態で行った。
患部の按摩は、右上側臥位で股関節屈曲、膝関節伸展、さらに足関節の背屈を筆者の膝で圧迫してふくらはぎに痛みが出る状態で、申脈穴を持続圧しながら飛陽穴から跗陽穴にかけて按摩を行った。
さらに患者さんに足関節に底屈に力を入れてもらい、腓腹筋が硬くなった状態でふくらはぎを圧迫した。

(図10)

ベッドから降りて右足だけでジャンプをしてもらうと、少し痛みが出たが、気にならない程度でできた。

施術の後、塩分の含んだ物を食べると以前よりも塩辛く感じるということで、自宅でも外食でも極力、薄味にするように勧めた。

3回目の施術 2回目から8日たった1月12日にかかった
9日の土曜日にも母親と温泉に行った。
濃い味の好きな母親を説得して家で食べる物を薄味にしたので、痛みが全く起こらなくなっていた。
反応のあったツボを強く押しても、圧痛が左側と同じくらいに感じるように軽減していした。
足の冷えは、まだ少しあった。
症状は改善したと判断して施術を終了した。

●参考図書
「臨床経絡経穴図解」山下 詢 医歯薬出版
「関節運動学的アプローチ(AKA)」初版 博田 節夫 医歯薬出版


【田中 勝(たなか まさる)】
1948年、北海道生まれ。1987年、東洋鍼灸専門学校卒業。1988年、東京都港区に治療院開設。1993年、経絡按摩・関節運動法講習会を発足させ、AKAの創始者・博田節夫氏の許可を得て、関節運動法などの講習会を行う。著書に『関節運動法』(たにぐち書店)、DVDに『よくある症状への手技療法』(医道の日本社)などがある。

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