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青山エリア、銀座線外苑前駅近くの鍼灸指圧治療院です。

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改善例の発表 monograph

●頚部の治療例

◆関節運動法による頸部の痛みの改善

田中 勝 田中鍼灸指圧治療院 鍼・温灸&経絡按摩・関節運動法講習会主催


・まえがき
関節運動法とは関節運動学的アプローチ(AKA)に経絡を応用した内容で、実技ではAKAの基本を踏まえながら独自に開発した多くの手技がある。
すべての手技において経絡に気を巡らせて症状を改善することを重視している。

・症状
右頸部の痛み
・患者 女性 46歳 身長162㎝ 痩せ型
・病歴
10年ほど前に膵臓炎になってから飲食は気をつけている。
漢方薬で甘草の入ったものは血圧が上がるので服用しない。
他、現在、健康診断では特に問題はない。

・症状発生
朝、起きたとき首に少し違和感があった。
ゴルフの打ちっ放しの早朝練習に行ってドライバーを振ったところ、首がギクッとなって痛みが出て動かなくなった。

・施術

坐位
頸が痛くて横になれないというのでベッドに座ってもらった。
頸を動かして右横に傾けると頸の右側頸部に痛みが出た。左側は筋が突っ張った感じであった。
揉んで調べると圧痛は第6頸椎、第5頸椎の横突起部であった。

➀右手第4指の背屈と凹滑り法

写真1 写真2
写真1 写真2

中医学の経絡の判断から、頸部の側屈痛は手の三焦経と足の胆経に関係が深く、第4指の関節運動法で軽減することが多い。
・手指の関節面の形状は内側・外側の横から見て中手骨遠位端は凸、基節骨近位端は凹、基節骨遠位端は凸、中節骨近位端は凹、中節骨遠位端は凸、末節骨近位端は凹である。
中手骨を固定して基節骨を掌屈・背屈すると基節骨の近位関節面は凹なので、関節面を骨の動く方向と同じ方向に動かす凹滑り法を行う。
操作は第4中手骨を固定して基節骨底部に示指、中節骨底部に中指、末節骨底部に環指を当て、背側に圧迫して凹滑り法を行う。
この凹滑り法に従って指を背屈すると、指の痛みが少なくて関節を大きく動かすことができる。
指の関節を通常以上に大きく背屈すると、経絡に気を巡らせて頸部の症状を改善することができる。
頸を右斜め前に傾けて、やや強い力で右手第4指への手技を行なうと、右側頸部の痛みが軽減した。


➁右手関節の背屈と凸滑り法
写真3 写真4
写真3 写真4


手関節を背屈すると頸部の側屈が行いやすくなる。

・橈骨遠位端の関節面は凹で、手根骨近位列の関節面は凸である。橈骨を固定して手根骨を動かすと手根骨近位列の関節面は、手全体の動きに対して反対の動きとなり、これを凸滑り法という。
手根骨を背側から掌側に圧迫して手掌部を背屈し、凸滑り法を行った。
この手技でも頸の痛みが軽減した。

➂ 頸を右横に傾けながら、右手関節の背屈と凸滑り法と第4指の背屈と凹滑り法の複合手技を1分間、5回行なった。
写真5 写真6
写真5 写真6

頸を動かすと少し痛みが軽減したので背臥位になってもらった。

背臥位
➀ 距腿関節の離開法(踵の圧迫牽引)
・離開法とは関節のゆるみの位置(距腿関節では背屈でもなく底屈でもない中間位の状態)で、2つの関節面を引き離すことである。
右踵の腎経・大鐘(だいしょう)穴に示指を当て、膀胱経・崑崙(こんろん)穴に中指を当てて、圧迫して牽引した。
この手技は頸椎も含めて脊椎椎間関節全体を伸ばして関節機能異常を改善する効果がある。
頸を右に傾けて痛みを出した状態で右距腿関節の離開法を1分間の持続手技、2回行なった。
頸を動かすと痛みが軽減した。

写真7 写真8
写真7 写真8


➁ 足の第4趾の関節運動法
頸部の側屈は経絡では胆経に関係が深い。胆経は目の外側から始まって足の第4趾で終っている。
・手足の指の関節は、通常、動かさない方向に曲げると関節可動域が改善されて、経絡に気を巡らせ、症状を改善することができる。
第4趾の中足骨/基節骨の底屈と凹滑り法と、近位・遠位指節間関節の背屈と凹滑り法を行なった。
写真9 写真10
写真9 写真10


➂ 頸部の関節運動法
・頸椎は、後頭骨/環椎関節は凹凸の関節で、第1から第7頸椎の椎間関節はすべて平面関節である。
平面関節は運動として360度の可動域がある。すなわち全ての方向に運動することができる。
1)頸部の上下棘突起間の左右圧迫による滑り法を頸椎6/5椎間関節に行なった。

写真11 写真12
写真11 写真12

上下の棘突起を左右から圧迫すると椎間関節に滑り法が行われる。
2)後頭骨/環椎関節の離開法で、完骨穴の離開法を行なった。
写真13 写真14
写真13 写真14

乳様突起の前後を示指と中指で挟んで、頭頂部に向けて牽引した。
腹鳴が起った。

3)後方伸展と滑り法。
写真15 写真16
写真15 写真16
中指で右側の棘突起の際の僧帽筋部を圧迫して、後頭骨を床側にさげて滑り法を行った。
最初は少し頭を下げても痛みが起ったので、後頭骨をわずかずつ下げながら5回、行なった。

4) 回旋と滑り法
左手の中指の中節骨を第6頸椎棘突起の右側にあて、左側に回旋して第6/7頸椎椎間関節に滑り法を行った。同様に第5/6頸椎にも行い、反対側にも行った。

写真17 写真18
写真17 写真18

5 )頭部を持ち上げて頸部を右斜め前方に伸展法を行った。
写真19
写真19

6) 側屈と滑り法。
右側の第6頸椎横突起部を固定して、左側の第5頸椎横突起部を左から右に圧迫して滑り法を行った。
写真20 写真21
写真20 写真21

腹鳴が起った。

7) 左肩を固定して頭部を右側に曲げて、側屈の伸展法を行った。
写真22
写真22


8) 後頭部を前方に持ち上げて、頸部の前屈の伸展法を行った。
写真23
写真23


1)から8)までの手技を3回、繰り返し行なった。

側臥位

➀ 仙腸関節の関節運動法
1)上部離開法は腸骨と仙骨の関節にゆるみを作るために必須の手技である。
これは副運動といわれる動きで、自分では動かすことができない関節のゆるみを作るものである。
腸骨の上前腸骨棘と上後腸骨棘を左右の手でつかんで天井側に持ち上げる。
写真24 写真25
写真24 写真25

ジーンとした響き的な感覚が起ったので、起らなくなるまで持続して行った。

2)前屈の手技
前屈上方滑り法と前屈下方滑り法を行って響き的な感覚の強い法を選択する。
今回の症例では前屈上方滑り法であった。

➀ 腰部の関元兪穴の位置する腰椎5/仙骨椎間関節に逆捻転を行なった。

写真26 写真27
写真26 写真27


第5腰椎と仙骨の脊椎椎間関節は平面関節である。
手技は腸骨の上前腸骨棘に前腕部をあて、第5腰椎下関節突起部に手根部の豆状骨をあてる。
腸骨を背側かつ足方に、第5腰椎下関節突起を腹側かつ頭方に圧迫して、互いに斜め方向に骨を動かして滑り法を行う。
患者さんの手で右頸部を揉みながら手技を行なうと、痛みが軽減することが確認できた。
筆者の経験から、この関元兪(かんげんゆ)穴の位置する第5腰椎/仙骨椎間関節の機能異常を改善すると、脊椎のすべての関節の機能異常を改善することができる重要な関節である。
ジーンとした感覚が感じなくなるまで、1分間の持続手技を3回、行なった。

坐位
頸を右横に傾けると、頸部の関節可動域が広がって、痛みは半分程度になっていた。

➀ 頸椎の側屈と滑り法
右手の四指を右第7頸椎横突起に当て固定し、左手の四指を左第6頸椎横突起にあてて、左側から右側に圧迫して滑り法を行なった。
写真28 写真29
写真28 写真29


同様に第6頸椎横突起を固定して第5頸椎横突起を左側から右側に圧迫した。

➁ 頸椎の後屈と滑り法
母指を第7頸椎棘突起の右側にあてて頭部を後方に曲げてもらい、第7/6頸椎椎間関節の後方伸展と滑り法を行った。
写真30 写真31
写真30 写真31


同様に第6棘突起、第5棘突起の右側に母指を当てて頭部を後方に曲げてもらった。
頸を動かすと、関節可動域が広がって痛みがさらに軽減した。

●自己治療
➀ 右手の中指を第6頸椎横突起部の右側にあてて、頸を右に傾ける。
写真32
写真32


➁ 右手の中指を第6頸椎棘突起の右側にあてて、頸を後方に傾ける。
写真33
写真33

痛みが出ない程度で頸部をゆっくりとストレッチをするように行う事を勧めた。

3日後に2回目の施術
施術の後、家に帰って眠気がさして1時間ほど寝た。
起きたときに痛かったことを忘れて普通にスッと起きたら、まだ頸が痛かった。
しかし、最初の痛みからすると半分程度になっているという。
初回の施術と同様に行った。
2回目の施術が終って、座って頸を動かすと80%程度改善していた。
当院にあった傘をゴルフクラブに見立ててスイングすると、最初、ゆっくりとスイングして痛みが出なかったので強く振ってもらった。痛みは出ないがまだ強張った感じであった。
「これだと大丈夫なようなので、明日、練習に行きます」

・考察
症状部位の関節の機能異常を改善するには経絡を判断して上肢、下肢と背腰部の関節の関節運動法を行うことが大切である。

参考文献
関節運動学的アプローチ(医歯薬出版)博田節夫著


田中鍼灸指圧治療院ビルダークリニック

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