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◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.63-1
腰痛はこう治す!
〜田中流の鍼・温灸治療の特長と腰痛治療法〜
田中鍼灸指圧治療院院長 田中勝

(あはきワールド 7月3日掲載)

田中鍼灸指圧治療院院長・鍼温灸講習会主催 田中勝


B00番鍼、あるいは0番鍼を用いて、回旋・雀啄して響かせる
C温灸をして温熱的に響かせる

 田中流の鍼・温灸治療の特長をまとめると、上記の4点を挙げることができる。
本稿ではまず、この4つの特長について解説し、そのあと腰痛治療の方法について言及する。


田中流の鍼・温灸治療の基本
 筆者の鍼術の特徴は極めて細い鍼である00番鍼、あるいは0番鍼を使って「痛くなく気持ちよく響かせる」ということである。
響くということは経絡に気が巡ることで、このことが最も症状を改善することができると考えている。
 それにはまず、診断按摩といって患部や経絡的に関係する他の部位に指圧と揉捏を行って最も硬結・圧痛のあるツボを調べる。
さらに、そのツボに強揉み前揉捏を行って極めて狭い範囲の硬結・圧痛穴を調べ、00番鍼・0番鍼という細い鍼で刺鍼する。
一定の深さに達したら、鍼を回旋と雀啄をして気持ちよく響かせ、置鍼して温灸を行う。

 以上が私の鍼・温灸治療の基本である。

また00番鍼は細くて痛みが少ないので、顔面部のツボにも積極的に刺鍼している。
その一例が目の上の陽白の刺鍼。患者さんの指でツボをつまんで持ち上げ、そこに斜刺する(図1)。
そして、刺鍼部を圧迫して撚鍼して響かせる(図2)。


図1


図2

@診断按摩(腹臥位)
 診断按摩とは主訴の患部と、このツボに関係する背腰部、上肢、下肢に指圧と揉捏を行って、最も硬結・圧痛のあるツボを調べる方法である。
硬結・圧痛は経絡の気の流れが滞っている部位で、筆者は、背腰部では膀胱経2行線のツボに圧痛が強くあることが多く、
いろいろな症状の改善に2行線のツボを重視している。
 たとえば肩こりでは主訴の肩井に対して背腰部のツボは魂門、陽綱、上肢・下肢では手三里、陽陵泉である。
中高年の患者さんの症状に対しては腎の弱りを重視して、ツボでは腎兪、志室、関元兪、下?などを重視している。

 丁寧に揉んで、ここに最も硬結・圧痛があるというツボが分かったら、
患者さんに「最も痛みを感じましたか」と聞き、さらに持続圧して響くという反応を得て刺鍼穴と判断する。


A強揉み前揉捏
 診断按摩で調べた硬結・圧痛穴に強揉み前揉捏を行って、きわめて狭い範囲の硬結・圧痛穴を調べる。
強揉み前揉捏とは、示指に中指を重ねて強く揉捏する方法で、その要領は2のリズムで揉んで、3で間合いを取って行う。
 示指に中指を重ね、ツボに当てて手前に引いたところから、イーと数えて押し、チーと数えて引き、ニーと数えて押す。
サンと数えて中指を外して示指を次のツボに置き、すばやく中指を重ねて手前に引いたところから、また押しながらイーと数える。

 文章では説明が難しいが実際の手の動きを見るとリズムよく滑らかに動かす中で、患者さんも気持ち良く感じながら、
最も硬結・圧痛のあるツボが調べられる方法である。


 前揉捏をしている間に片手挿管で鍼をセットする。前揉捏をしてツボが、これだと決まったら次に押手を作る。

 ニーと向こうに押して、次にテンと数えて中指を外して(浮かせて)、示指をツボに置いたまま、
次にサンと数えて手首を内回し(右手で揉んでいる場合は時計回り)をして、母指と示指の指先をつまむように当てて押手を作る。
鍼管は、加圧をやや強めにして立てると切皮痛が少ない。


B00番鍼、0番鍼を用いて、回旋・雀啄をして響かせる
 刺入は鍼柄を母指と示指の末節骨の部分でつまんで、母指を横に細かく、素早く動かして刺入する(図3)。

図3
 この持ち方が撚鍼して、鍼柄が最もずれない持ち方である。
「鍼を刺入するという気持ちを持たないで、鍼の重さで自然に刺ささっていく」という感覚で
鍼柄をクルクル回していると自然に刺さっていく。
繰り返し行うと響きが発生する。患者さんが、「その刺激なら受け入れたい」と思うような気持ちよい響きを30秒から1分間、
あるいはそれ以上、持続して行う。
気持ちよい響きを長く続けることが最も治療効果がある。


 響きが起こらないときは回旋の幅を大きくし、雀啄の幅も大きく一定の深さに刺入したら
「回旋して抜いて刺す、反対に回旋して抜いて刺す」を行う。
それでも響かないときは、同じ方向にばかり回旋すると鍼の絡む感じが強くなって響きが起こる。


C温灸をして温熱的に響かせる
 十分に響いたら置鍼して、鍼の斜め上方からツボの部分に温灸をかざして温める(図4)。


図4

 熱気持(あつぎも)ちよい熱感を与えるようにして、刺激量はツボが発赤する程度がよい。約1分間。
冷えが強いときは2〜3分間行う。さらに長い時間行う必要があるときは、一度温灸を置いて鍼を運鍼(回旋と雀啄)して響かせて、もう一度温める。

 田中流の鍼治療は、まず揉んで一番の硬結・圧痛穴を見つけ、そのツボに00番鍼という細い鍼で気持ちよく響かせ、
さらに温灸を行って温めるという方法である。また刺鍼する前に持続圧で響かせ、刺鍼して響かせ、温灸で響かせる、
ひたすら経絡に気を巡らせるという鍼術である。


腰痛の治療(側臥位)

腰痛は原則として側臥位で行う。
まず、疼痛部位に重ね指で強揉み指圧・揉捏を行い、「これが、腰痛の一番のツボだ」というツボを見つけて、そこに刺鍼する。

 腰痛は主に関元兪であることが多いが、このツボを中心にしてこのツボの内側の内関元兪、
上部の大腸兪、その内側の内大腸兪、外側の外大腸兪の5穴を調べる。筆者の経験上、内関元兪が腰痛のツボとして重要である。
このツボは正穴・関元兪の筋の部分と第5腰椎棘突起の中間に位置するツボである。

 腰痛の原因は腎の弱りから起こることが多く、また腰痛のツボに対して下肢のツボは経絡的に縦の関係が強い。すなわち内関元兪の痛みの原因は内腎兪、
この腰部の疼痛穴に関係して下肢の硬結・圧痛のツボは腎経の下陰谷、築賓、照海などである。

 同様に関元兪は腎兪、下肢は膀胱経の膀胱兪、承山、?陽など。
 外大腸兪から殿部の胞肓、秩辺の痛みは、志室が原因となっていることが多く、下肢では飛陽、?陽などである(ツボの位置については図5参照)。





図5 腰部・仙骨部と下肢のツボの関係

鍼は腰部と殿部には寸6・0番のステンレス鍼を使用している。下肢は寸3・00番鍼である。
腎の弱りは腰部や殿部、下肢に必ず冷えがあるので鍼を置鍼して温灸を行う。

 なお腰痛の原因の内臓の弱りとしては腎が多いが、脾の弱りでは、
鼡径部の動脈拍動部の衝門、肝の弱りでは股関節部の環跳、あるいは大腿骨の大転子部である。


症例2)左側のぎっくり腰の例
患者:53歳男性、身長 172cm 、体重 62kg。
初診:2019年5月12日(日)。午後6時に往診、30分治療。
 当院から歩いて2分の所に住んでいる患者さんで、普段、月1回の割合で按摩にかかっている。
軽い慢性腰痛があって年に1〜2回、ひどくなると鍼治療にかかる。
ゴルフから帰ってきて車のトランクからゴルフバックを持ち上げようとしてギクッとなった。部屋に入ると、患者さんはベッドに横になっていた。

 「明日、仕事なので何としても今日、治したい」との訴え。いつも腰痛のツボは左関元兪で、原因穴として志室である。
施術の時間が短かったので、すぐに鍼をした。2穴に、1寸6分・0番鍼で刺鍼して回旋・雀啄して響かせて置鍼した。


図1

そして、左足膀胱経・申脈に1寸・00番鍼で1p刺入して示指で圧迫して撚鍼して響かせた(図1、図2)。


図2

さらに、足関節を背屈位に保って、腓腹筋外側部の膀胱経、附陽と飛陽の硬結・圧痛に単刺した(図1、図3)。


図3

また、「足が冷えているので温灸をします。部屋の中が煙臭くなりますが、いいですか」と聞いてから、
申脈と足の外側部、京骨から束骨、至陰にかけて冷えていた部位を温灸で温めた(図1、図4)。関元兪と志室にも温灸をした。


図4

患者さんは「やっぱり、鍼の方が効くなあー、痛みが軽くなるのが分かる」とのこと。
足と腰の鍼を抜いて、左股関節を屈曲して腰部をカイロプラクティックの方法で軽く捻転すると腰に痛みが出たので、その状態でまた左関元兪に刺鍼して響かせ、抜鍼して終了した。

 最後に筆者の整体である逆捻転という手技を腰部に行った。施術の時間は30分である。

 次の日、月曜日の朝、8時に往診して30分、昨日と同様に施術した。
 「まだ少し残っているけど、もう1回、やってもらったら大丈夫だと思う」
 腰と足に診断按摩で指圧すると、圧痛は昨夜に比べて半分以下であった。
最初から股関節を屈曲して腰部を捻転して痛みを出した状態で腰に鍼をした。足関節を背屈して下腿外側部、膀胱経の硬結・圧痛穴に刺鍼した。
腰部に逆捻転を行った。
 最後に立ってもらい、前屈すると手が床に着いたが腰に痛みが出たので、前屈の姿勢を保ったまま、左関元兪に刺鍼した。

 翌日、ご夫人が按摩にかかったとき、「主人がすっかり治ったのでよろしく言っておいて」と報告してくれた。
※図は患者さんの自宅ではなくて、筆者の治療室で職員治療師をモデルにして撮ったものである。


症例2)腰痛、実は便秘による仙骨部痛の例

患者:28歳女性、身長161cm、体重55kg。
主訴:左腰痛の訴えであったが下?の痛みであった。
現病歴:2019年3月に静岡の本社から東京支店に転勤になって、この3カ月間で便秘になった。

 静岡では、実家から通っていて母親か自分で作る物を食べていたが、独り暮らしになってから外食が多くなった。
 東京支店に筆者にかかっている患者さんがいて、その人に紹介されて来た。鍼は静岡でも肩こりでかかっていた。

施術
1.左上側臥位での施術
 左側の腰痛ということで、左上に側臥位になってもらい、腰部の関元兪を指圧すると「もっと下の方です」という。
仙骨部の次?を指圧しても、「もっと下です」。八?穴の一番下にある下?穴を指圧すると、「そこです」。
 「このツボは腰痛というよりも殿部痛、または仙骨痛といいますが」と説明すると、
「そこが痛いのですが、最初からお尻が痛いなんて恥ずかしくて言えなかったので腰痛と言ったのです」。
そこで、「このツボは便秘のツボですけど、普段、便秘はありませんか」と聞くと、「便秘です」。
さらに「痔はありませんか」と尋ねると、「痔はないです」。

 1寸6分・0番鍼を押手の指でつまんでいるところまで約4p刺入して回旋・雀啄した。
 「以前の鍼は電気をかける鍼でした。先生の鍼は痛いところをほぐされる感じで気持ち良いです。お腹が動いています」
 腎は二便を主る、という中医学の理論から腎兪に診断按摩を行うと硬結があった。このツボにも1寸6分の鍼で刺鍼して回旋・雀啄して響かせた。
 さらに、置鍼してある2つのツボを温灸で温めた(図5)。


図5

「以前の治療院では鍼が終わったあと、台座灸をしてくれたのですが、これの方がすごくお腹が温まります」

2.背臥位での施術
鍼を抜いて背臥位になってもらった。筆者の便秘のツボである下腹部の左胃経・水道から脾経・府舎にかけて触診しようとすると、「先生、くすぐったくてダメなんです」という。
それで患者さんの手を借りて、その手を私がつかんで、まず右側の水道を圧迫して、次に左側を圧迫すると左側に硬結のあることが分かった(図6)。



図6

「大腸はここからS状結腸、直腸につながっているので、便秘はここに硬結が現れるのですよ」
 この腹部の硬結を柔らかくするツボは足の胃経、下巨虚であることが多いので、胃経に診断按摩を行うと、他のツボよりも硬結・圧痛があった。
筆者が下巨虚穴を指圧しながら、患者さんに水道を圧迫してもらうと、柔らかくなって圧迫不快感が軽減した。
 この2穴に1寸3分・00番鍼を刺鍼して温灸をして、施術終了。時間50分。

 帰るときに、便秘に効く食べ物としてコンビニに売っている真空パック詰めの「皮付きさつま芋」を勧めた。
2週間後の施術

 「あの後、さつま芋だけを食べて寝ました。次の日の朝、食事する前にすこし柔らかくなった便が出ました。食事をする前に排便があったのは初めてです。
その後、自分でお腹を触ると硬い物がすこし小さくなっていました。歩いていても腰が痛かったのが、1回の施術で半分以下になりました」

 極力、自分で和食を作って食べるようにアドバイスした。

考察
 腰痛や殿部痛、仙骨部痛は、ほとんどの例で腎の弱りが原因である。腎兪あるいは志室を十分に施術することが改善につながる。また腎は冷えによって機能低下になる。温灸をして腹部の中が温かく感じるまで行うと、排尿と排便がよくなって腰痛が改善される。

(終)

参考文献 1)山下詢:臨床経絡経穴図解、医歯薬出版、1972年




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